0 目標
・健康であるときに認知症を予防します。
・発症しても早期に治療し、中等度になったときは進行を遅らせます。
・重度になっても人間としての一生を全うしていただくために、以下の項目を共に勉強していきましょう。
Ⅰ 認知症を知る
認知症とはどういった状態をいうのでしょうか。
認知症の一番のリスク(危険因子)は加齢です。
年齢を重ねると、様々な原因で脳の細胞が衰えていったり、壊れていったりします。
そのため、記憶力や判断力、集中力などが徐々に低下していき、物忘れや出来ていた事ができなくなったりするのです。
しかも日常生活に支障をきたす状態をいいます。
認知症の症状
- 中核症状脳の障害により起こる症状で、すべての認知症の方にあてはまる症状です。
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- ①記憶障害記憶が抜け落ちる。食事をしたこと自体を忘れるなど。
- ②見当識障害時間、場所、人がわからなくなる。
- ③実行機能障害計画を立てて実行できない。料理が上手に作れなくなったなど。
- ④判断力低下料理・計算・運転などのミスが多くなった。職場での仕事に支障をきたすようになったなど。
- ⑤失語読む、書く、話す、聞くなどの言語機能が失われる。ものの名前が出てこない。言葉の意味が理解できないなど。
- ⑥失行「さようなら」ができない。衣服の着脱ができない。立方体が書けない。指でチョキやキツネが作れない。道具の使い方がわからないなど。
- ⑦失認左右がわからない。手指の名前がわからないなど。
- 行動・心理症状(BPSD)中核症状のために、本人が落ち込んだり不安になったりした結果起こる症状です。
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- 徘徊・暴力・暴言・幻覚・妄想・うつ
などが出てきます。
思い当たることがありますか?
チェックリスト別紙(PDF)
認知症の危険因子
- ①加齢
- ②生活習慣病(糖尿病 高血圧 脂質異常症 メタボリック症候群)
- ③うつ病
認知症の防御因子
- ①運動
- ②食事
- ③社会参加
- ④知的活動
Ⅱ 軽度認知障害
認知症ではないけれど、
- ①物忘れの自覚はある
- ②周りの人からも物忘れを指摘される
- ③しかし日常生活には支障がない
正常と認知症の間の状態をいいます。
このうち、年間約10%が認知症に進むといわれています。
軽度認知機能障害は、予防することによって正常に戻ることができる状態なのです。
Ⅲ 認知症のケア
- ①認知症の人を理解しましょう。
- ②ご本人にとって適切な生活環境を整えましょう。
- ③互いに共感し、理解しあう双方向の関係づくりをしましょう。
- ④大切な思い出や言葉というコミュニケーションツールを失うということを経験し、自分がおかしいことに気がつき、傷ついていることを理解しましょう。
- ⑤ユマニチュードを実践しましょう。
『見ること』『話すこと』『触れること』『立つこと』を重視し接しましょう。
認知症の人は、
・自分で自分のことができなくなること
・自分で自分のことを決められなくなること がわかっています。
だからこそ、本人の意思を尊重・尊厳に配慮することが必要なのです。

出典:平成28年版厚生労働白書
日本の人口ピラミッドは、高齢者が多く若年者が少ないつぼ型になっています。

出典:平成28年版厚生労働白書
日本の人口は減少しており、2025年には、高齢化率は30%となり、その後も増加傾向になっています。

65歳以上の高齢者の認知症有病率は年々増加しており、2025年には20.6%と高齢者5人に1人が認知症という状況になってきます。